実験環境の構築

1.1 演習の全体確認

本演習では、ルータとハブ、PCを用いてネットワークの構築を行う。

おおまかな流れは下記のとおりである。

  1. ルータの初期化
  2. FastEthernet0側の設定
  3. FastEthernet0側のネットワークにPC3台を接続
  4. Ethernet0側の設定
  5. Ethernet0側のネットワークにPC3台を接続
  6. ルーティングテーブルの作成
  7. 経路確認、トラフィックの計測

1.2 機器の準備

1.2.1 機器の確認

本演習では以下の機材を使用する。すべての機材がそろっているかどうかを確認すること。また、返却の際にも確認すること。

1.2.2 機器の接続

  1. ルータの電源をつなぐ
  2. スイッチングハブの電源をつなぐ
  3. シリアルケーブルの片方にUSB変換を接続し、ルータ(CONSOLE端子)と演習室のパソコンにつなぐ。

    ここまでで、下の写真のような配線になる。

    (ここでのルータとハブを繋ぐケーブルは分かりやすいように短いものを使用している。)

  4. 自分のPCとハブの間をストレートLANケーブルで接続する。

    各自のPCを、1X~6Xの間につなぐ。

  5. ハブとルータの間を、ストレートLANケーブルで接続する。

    ルータと7Xをつなぐ。

FastEthernetとEthernetの違い

上の図のようにLANコネクタには「10BT ETHERNET」と「10/100 ETHERNET」があるが、「10BT ETHERNET」は Ethernet用、「10/100ETHERNET」はFastEthernet用である。Ethernetとは通信速度を10MbpsのLAN規格、FastEthernetとは通信速度100MbpsのLAN規格のことである。

1.2.3 設定環境確認

1.2.3.1 TeraTermの設定確認

シリアルポートでルータのコンソール画面を扱うための設定を行う。

  1. 起動する
  2. 「新しい接続」のダイアログが出るので、キャンセルする。
  3. 「設定」の「シリアルポート」が以下の設定になっていることを確認して、OKを押す。

1.2.4 ルータのリセット

ルータの初期化などの作業は、実際に行うのは1人となるが、班員全員で分担しながら協力して行うこと。

  1. 演習室のPC上で、TeraTermを起動する
  2. シリアルポートの中からCOM X(XはOSでUSB変換ケーブルに割り当てられた番号)を選択する。 もし選択できない場合は正しくUSB機器が認識されていない可能性があるため、挿し直すこと。

    ポート番号の調べ方は
    「コントロールパネル→Windowsの開始→詳細を表示します→システムの詳細設定→ハードウェア→デバイスマネージャ」
    または、
    スタートメニュー内の「コンピュータ」を右クリックしてプロパティを開き、「システムの詳細設定→ハードウェア→デバイスマネージャ」
    ポート(COM と LPT)を調べると、ポート名が判明する。

    注意

    もしポート番号が5以上だった場合は、接続できない恐れがある。1~4番までの空いているポートを指定して接続すること。

    手順は、上のポート番号を確認するやり方と同様にデバイスマネージャを開くことで変更することができる。デバイスマネージャ内のポート(COM と LPT)から、ポート番号を変更したいデバイスを選択し、右クリックからプロパティを開く。COMポート番号を指定する欄があるので、COM番号を1~4の間にする。

  3. ルータの電源を入れる。
  4. 以下の表示が出るまでしばらく待つ。

    System Bootstrap, Version 12.2(7r)XM2, RELEASE SOFTWARE (fc1)
    TAC Support: http://www.cisco.com/tac
    Copyright (c) 2003 by cisco Systems, Inc.

    この表示が出てこなければ、実験副手を呼ぶこと。
  5. もし「--- System Configuration Dialog ---」が出てきたら、「no」と入力する。表示されない場合は次へ進む。
  6. 表示が止まったら、Enterを押す。
  7. 以下のコマンドラインが表示される。

    Router>

  8. 電源を切って5秒待つ。
  9. 電源を入れ、約30秒後にブレークを送信する。

    <ブレークを送信する方法>

    メニューから「Control -> Send Break」
    または 「Alt+B」でも可

  10. 以下のコマンドラインが表示される。

    rommon 1 >

  11. 「confreg 0x142」と打つ
  12. 以下のコマンドラインが表示される。

    rommon 2 >

  13. 「reset」と打つ。
  14. ルータが再起動されるので、立ち上がるまで待ち1.2.5のルータの初期設定に進む。

1.2.5 ルータの初期設定

  1. ルータを立ち上げる。
  2. Would you like to ente initial System Configuration Dialog ?

    が出るので、yesと入力する。

  3. Would you like to enter basic management setup? [yes/no]:

    と出るので、noと入力する。

  4. First, would you like to see the current interface summary? [yes]:

    と出るので、yesと入力する。

  5. 以下のとおりに設定を行う。

    Enter host name [Router]: Router (※ルータのホスト名の設定)

    Enter enable secret: router (※ルータの管理者パスワード)

    Enter enable password: router2

    Enter virtual terminal password: virtual(※telnetでログインする際に必要なパスワード)

    Configure SNMP Network Management? [yes]: no

  6. 以下のとおりに設定を行う。

    Configure IP? [yes]: no
    Configure bridging? [no]: no
    Do you want to configure Ethernet0 interface? [yes]: no
    Do you want to configure FastEthernet0 interface? [yes]: no
    Would you like to go through AutoSecure configuration? [yes]: no

  7. 以下のとおりに表示される。

    [0] Go to the IOS command prompt without saving this config.
    [1] Return back to the setup without saving this config.
    [2] Save this configuration to nvram and exit.

    以下のとおりに設定を行う。

    Enter your selection [2] : 2

    2を選択し、設定を保存する。

  8. ルータが起動するので、システムメッセージの表示が止まってからEnterを押す。
  9. 以下のコマンドラインが表示される。

    Router>

  10. 「enable」と入力する。

    Router> enable

    Password:

    ※パスワードは「Enter enable secret」で指定したパスワードである。

  11. 以下のコマンドラインが表示される。表示が「>」から「#」に変わっているか確認すること。

    Router#

  12. 「configure terminal」と入力する。
  13. 以下のコマンドラインが表示される。

    Router(config)#

  14. config-register 0x2102」を入力する。

    Router(config)# config-register 0x2102

    ※0x2102で問題がある場合0x102を使用する。

  15. exit」でenableモードまで戻り、「write memory」と入力して設定を保存する。

    Router(config)# exit
    Router#
    Router# write memory

    つぎに、ルータに設定が保存されているかどうかの確認を行う。

  16. ルータの電源を切り5秒後にルータを再び立ち上げる。TeraTermはそのままにしておく。
  17. ルータが立ち上がる。表示が止まったら、Enterを押す。
  18. 以下のコマンドラインが表示される。

    Router>

  19. 下記の通りに入力をおこなう。

    Router> enable

    Password: ※パスワードは「Enter enable secret」で指定したパスワードである。

    Router# exit

以上で設定は終了である。

※もし19でパスワードが問われなかった場合、設定が保存されていないので、1.2.4に戻り設定をやり直すこと。

 

 

1.2.6 IPアドレスを設定する

ここから本格的にルータの設定を行うが、設定を始める前にルータのモードについて説明する。

CISCOルータには通常モード、enableモード、configureモードがある。 設定を行う際には、通常モードからenableモードに入り、enableモードからconfigureモードにして設定を行う。

1.2.6.1 FastEthernet0側の設定

ルータの裏面が「10/100 ETHERNET」となっている端子が『FastEthernet0』である。

  1. enableモードにする。

    Router> enable
    Password:

    Router#

    ※パスワードは「Enter enable secret」で指定したパスワードである。

  2. configureモードにする。

    Router# configure terminal
    Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.

    Router(config)#

  3. FastEthernet0の設定モードにする。

    Router(config)# interface FastEthernet0

    Router(config-if)#

  4. FastEthenet0のIPアドレスを設定する。

    Router(config-if)# ip address 192.168.1.2 255.255.255.0

    IPアドレスは各班ごとに正しいIPを入れる(例. 192.168.1.2)。

    各班ごとのIPアドレスはここに示してある。


    「255.255.255.0」は、サブネットマスクであり、各班ともに固定である。

    サブネットマスクとは?

    IPアドレスからネットワークアドレスを求める場合に使用するマスク値のこと。IPアドレスとサブネットマスクの論理積をとることでネットワークアドレスを取得することができる。

  5. FastEthrnet0 ポートを有効にする。デフォルトでは無効になっているので、下記のとおり入力を行い有効にする。

    Router(config-if)# no shutdown

  6. IPアドレスが設定されているか確認をおこなう。下記の通り入力を行い、enableモードへ戻る。

    Router(config-if)# exit
    Router(config)# exit

    Router#

    下記の通り入力を行う。

    Router# show interfaces FastEthernet0

    正しく設定が行われていれば、下記のとおりFastEthernet0の状態を確認することができる。

    FastEthernet0 is up, line protocol is up
    Hardware is PQUICC_FEC, address is 000c.ce4b.e8b2 (bia 000c.ce4b.e8b2)
    Internet address is 192.168.1.2/24
    MTU 1500 bytes, BW 100000 Kbit, DLY 100 usec,
    reliability 200/255, txload 1/255, rxload 1/255
    Encapsulation ARPA, loopback not set
    Keepalive set (10 sec)
    Auto-duplex, 10Mb/s, 100BaseTX/FX
    ARP type: ARPA, ARP Timeout 04:00:00
    Last input 00:00:24, output 00:00:03, output hang never
    Last clearing of "show interface" counters never
    Input queue: 0/75/0/0 (size/max/drops/flushes); Total output drops: 0
    Queueing strategy: fifo
    Output queue: 0/40 (size/max)
    5 minute input rate 0 bits/sec, 0 packets/sec
    5 minute output rate 0 bits/sec, 0 packets/sec
    41 packets input, 2778 bytes
    Received 0 broadcasts, 0 runts, 0 giants, 0 throttles
    0 input errors, 0 CRC, 0 frame, 0 overrun, 0 ignored
    0 watchdog
    0 input packets with dribble condition detected
    98 packets output, 7173 bytes, 0 underruns
    46 output errors, 0 collisions, 1 interface resets
    0 babbles, 0 late collision, 0 deferred
    46 lost carrier, 0 no carrier
    0 output buffer failures, 0 output buffers swapped out

    「FastEthernet0 is up」となっているか確認すること。

[重要] 設定の保存を行う

FastEthrnet0ポートの設定が完了したところで、ルータの設定を保存する。

  1. enableモードにする。
  2. write memory」と打つ。
  3. 保存される。
注意

保存されるのはルータの設定である。個人のPCのIPアドレスなどは保存されないので注意。


環境構築は以上で終了である。

演習課題があるので取り組むこと。